異次元の少子化対策として、「こども未来戦略方針」が決定されたね。
具体的にはどんな制度ができるの?
政府はこども未来戦略会議で、児童手当の拡充を柱とした「こども未来戦略方針」を決定しました。その財源としては、「子ども・子育て支援金制度」を新設し、公的医療保険に上乗せすることで国民と企業から徴収する仕組みが説明されています。
具体的にどのような制度ができるのでしょうか。また、子育て支援金の新設によって私たちの負担はどうなるのでしょうか。
詳しくみていきましょう。
主な制度
若い世代の所得向上に向けた支援
児童手当の拡充
いつから? -2024年10月支給分~
児童手当の支給対象が高校生までに引き上げられます。第3子以降は高校生まで30,000円の給付を受けられるとのことで驚きです。
さらに所得制限が完全に撤廃され、対象が子育て世代の全員に拡大となります。
出産費用の保険適用
いつから? -2026年度を目途に検討中
これまでは、出産は病気や怪我ではないという考えから保険適用にならず、出産育児一時金で支援する方針でした。なお、出産育児一時金は、2023年4月以降42万円→50万円に引き上げられています。
今後出産が保険適用になれば、妊婦の経済的負担の軽減につながり、子供を持つことへのハードルが下がることが期待できますね。
妊娠・出産への給付金支給
令和4年度に創設された「出産・子育て応援金(10万円)」の給付を令和5年度も継続して実施することが決まりました。
ベビーグッズの購入費や妊婦健診の交通費など、何かと妊娠中にかかるお金も大きいので、妊娠期の給付金は有難いですね。
ぜひ今後も続いてほしい制度だね。
子育て世代への住宅支援強化
いつから? -2023年度中~
少子化の原因の一つとして、「もう一人欲しいけど家が狭いから諦めた」という声が挙がっており、子育て世代への住宅支援強化が進められています。
特に都心では戸建てや4LDK以上のマンションに住むのはかなり難しく、家の狭さによって産める子供の人数が限られるというのも納得の意見です。
さらに、子育て世代の住まいに関する相談対応や、住宅支援強化の取組の周知にも力を入れていくとのことです。
育児期間の国民年金保険料を免除
いつから? -2026年度~
自営業やフリーランスの方が加入する国民年金において、育児期間中の保険料を免除する措置が創設されます。
2026年度に開始できるよう現在は準備を進めている段階とのことです。
すべての子育て世帯に向けた支援
保育施設の利用要件を緩和
新たに「こども誰でも通園制度」が新設されます。月に一定時間までの利用枠の中で、就労状況を問わず時間単位で保育園を利用できる制度です。
また、1歳児および4・5歳児の保育士配置基準が改善され、保育の質向上を図ることで子育て世代の不安を解消する取り組みも実施されています。
みんなが安心して保育園に預けられる環境が整うといいなあ。
共働き世帯への支援
育休中の手取り引き上げ
いつから? ー2025年度~
これまで180日間は育児休業給付金の給付率が67%でしたが、2025年度から両親ともに14日以上育休を取得する場合、28日間を限度として80%まで引き上げられます。育休中は社会保険料等が免除されるため、実質手取りは10割相当となり、減給せずに休暇を取得できることになります。
両親がともに育休を取得し、二人で育児に取り組む経験は今後の家族のあり方に大きく影響してくると思います。これからも男女ともに育休が取りやすい環境が整っていくといいですね。
個人的に、夫が育休を取得してくれて良かったことは、育児への向き合い方が夫婦で対等になったことです。手の空いている方が赤ちゃんを抱っこするし、哺乳瓶の消毒をするし、ベビー服の洗濯を回します。そして夜間の授乳は毎日交代制でやっています。
できれば28日間と言わず3ヶ月くらいは減給せずに育休を取得できるようになってほしい・・・。
時短勤務への給付
いつから? -2025年度~
2歳未満の子供を育てる男女が時短勤務を選択した場合、賃金の10%が「育児時短就業給付(仮称)」として支給されます。
時短勤務を選択すると、やはりネックとなるのは収入の低下です。収入面の不安が解消されることによって、柔軟な働き方を選択できるという点でとても有難いです。
子の看護休暇の対象拡大
いつから? -2025年度~
「子の看護休暇」とは、病気や怪我の子供を看病するために使える5日間(子供が2人以上の場合は10日)の休暇のことです。
これまでは小学校就学前までの子供が対象でしたが、小学3年生修了時までに延長されます。また、休暇の取得事由も範囲が見直され、病気や怪我以外の理由でも活用できるようになりました。
ただ、保育園に通い始めると2週間に1度くらいのペースで風邪を引くようになると聞きます。正直5日では全く足りないですし、有給まで使い果たす勢いなので子の看護休暇についてはもっと制度を拡充させてほしいなと思うところです。
5日じゃ足りないよ・・・。
年収の壁への対策
「年収の壁」とは、その額を超えると社会保険料や税金が変わり、手取り額が減ってしまうボーダーラインのことです。
この壁があることにより、短時間労働者が勤務時間をセーブしなくてはいけなかったり、そのせいで企業が人手不足に悩んでいたり、悪循環を生んでいます。
年収の壁を意識せずに働けるよう、引き続き取り組みを続けていくとのことです。
財源の確保
これだけ制度を拡充させるのですから、相当の財源を確保する必要があります。そしてこの財源は、「医療保険への上乗せ」で確保する方針で決まりました。
また、上乗せ額は所得に比例して多くなり、2028年度にはその1.6倍ほどに負担が増える見込みとなっています。年収600万円の人で月額1000円も増額になるとのことです。
でも、政府は「実質的な負担は生じない」と説明していたよね?
確実に保険料が上がり、負担額は増えているのに実質的な負担が生じないとはどういうことなのでしょうか。
政府によると、「賃上げにより収入が上がるため、保険料が上がっても実質的な負担は増えない」という理屈らしいですね。
賃上げの恩恵を受けられていない人もたくさんいますし、負担率は変わらなくても保険料が上がり負担が生じることは確かです。少子化を止めるためには出産・育児への支援が必要なことはみんな分かっていることなので、はっきりと説明してくれればいいのになと思ってしまいます・・・。
最後に
子育て支援金を活用してすすめられる制度は主に次のとおりです。
子育て世代にとって、お金・時間の問題はかなり深刻なものです。今のご時世で子供を複数人育てるというのは簡単なことではありません。
私自身、理想では3人以上欲しいという気持ちがありますが、現実的に絶対無理だと諦めています。経済的な余裕も、家の広さも、共働きで時間的な余裕もありません。この障壁がなくなるには、もっと異次元の対策が必要かなと個人的には思っています。
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